医師がピアストラブルで良く処方する「ゲンタシン」
多くのピアスサイトで購入をオススメされている市販薬の「ドルマイシン」「テラマイシン」
(抗生物質はその他たくさんの種類があります)
私がこのピアスサイトを始めたきっかけの大きな理由が、コレ。
みんながあまりにピアスホールに抗生物質を「気軽に使っている」ことがどれだけ恐ろしいのか、よく知って、考えてほしいのです。
薬剤耐性菌について知っていますか?
抗生物質の効果
抗生物質を簡単に説明すると、細菌に対してだけ効果のある「細胞を破壊する」お薬です。
ターゲットになる細菌はお薬の種類により決まっていて、ターゲットの範囲もお薬によって広かったり、狭かったりします。
例えば、体に4種類の細菌が居るとき・・・
抗生物質Bでは3種類の細菌に効果がある。
というイメージ。
広い細菌の種類に効果がある抗生物質を、広域抗菌薬(抗生物質)と呼びます。
耐性菌がうまれてしまう
ゴキさんをやっつけるコ●バット的な物のCMで「耐性ゴキにも効く!」というフレーズ見た事ありますか?笑
ゴキさんたちは、いっつも同じ薬でやっつけられてきたので、このままでは絶滅してしまう…!と、お薬に対して「耐性」を持ち、やっつけられないように進化しました。
ちょっとメカニズムは違うけど、抗生物質を人間が使ううちに、耐性を持つ「耐性菌」というものが生まれだしました。
良く効く抗生剤が悪者になる
抗菌薬が選択圧として働くことによって耐性菌以外の細菌が減少し、耐性菌が相対的に増加することによって薬剤耐性菌は増殖の機会を得ます。体内が「非耐性菌に不利で、耐性菌に有利な環境」であればあるほど、耐性菌は増殖しやすいということです。
薬剤耐性が拡大する要因 | 薬剤耐性菌について | 医療従事者の方へ
この環境を作り出す要因のひとつは、広域抗菌薬の投与です。例えば、アモキシシリンよりもフルオロキノロンのほうが幅広い細菌に作用するため、多くの非耐性菌が抗菌薬の影響をうけ、数が減少してしまいます。つまり、「非耐性菌に不利」な体内環境をつくってしまいます。
少し難しいので、かみ砕いてお話しようと思います。
先程おつたえした、
3種類の細菌に効く抗生物質B
どうせ使うなら、広域抗菌薬、抗生物質Bを使いますよね(。_。)ウン
これが耐性菌が増える落とし穴だったのです。
良く効く抗生物質Bを使った体内では、たくさんの菌が死滅した結果、空間が多くできます。
そこに耐性菌が生まれると・・・
↓
菌は普段、種類ごとに居場所の争いをしてバランスを保っています。
広域抗生剤で場所をあけてしまうと、残った空間にあっという間に耐性菌が増えてしまうことになるのです・・・
こうして、「クスリが効かない菌」が増えて行っているのが、現在問題になっている現象です。
これは、内服薬(飲み薬)でも外用薬(塗り薬)でも同じです。
新しい薬が開発されるから大丈夫?
ゴキさんのお薬も「耐性ゴキにも効く」ものが出てるから、これから人間の医療が進歩して耐性菌に効く薬も出てくるんでしょう?
心配ないんじゃない?
という意見もあると思います。
実際、耐性菌に効くお薬は今まで開発されてきました。
実際に,院内感染や日和見感 染の管理の上で大きな問題となっているメチシリン耐性ブドウ球菌 (MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)への切り札として2000年より米国で発売された全く新しい作用機序による完全合成の抗菌剤,リネゾリド(ファルマシア,商品名ザイボックス)は,発売後約半年で本剤に耐 性を示す腸球菌の発生が報告されている3).このように,新薬の発見を上回るスピードで耐性化は進行するため,このまま細菌の耐性化への対策を講じない限り近い将来,すべての抗菌剤が無効になってしまう可能性がある.
抗生物質使用における – 日本ヘルスケア歯科学会
しかしながら、実際には開発スピードよりも菌が耐性化するスピードが上回っていて、今後も「特効薬」が開発される見込みはありません。
このままでは、「良くなるための薬」を使ったせいで、自分たちの将来を苦しめることになってしまいます。
世界中で死者が出ている
現在、薬剤耐性(AMR)によって世界では年間70万人が死亡しています。このまま何の対策も講じなければ、約30年後には1,000万人が死亡すると予想され、がんの死亡者数を上回る可能性があります。
かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使って薬剤耐性(AMR)対策~
もちろん、本当のお話です。
医療水準が比較的高いと言われる日本でも、特にお年寄りや赤ちゃん、体の弱い人にとっては致命的なことなのです。
看護師のピアスホールを調べたら、耐性菌が出てきたという研究結果があります
大学病院の看護師200名を対象とし、ピアス孔保有者は孔部分を、非保有者は耳垂背面を滅菌綿棒にて擦過し試料を採取した。
対象200名のうち耳ピアス孔保有例128例のうち、耳ピアス孔からS. aureusが分離された例は18.8%(24/128例)に認められ、孔非保有例の9.7%(7/72例)に比べ高かった。耳ピアス孔よりS. aureusが分離された例のうち50%の例において手指からもS. aureusが分離され、一部はMRSAであった。耳ピアス孔および手指にMRSAを含むS. aureusが定着していることが、耳ピアス孔は手指を介した病院感染の要因となることが示唆された。
研究件数が少ないですし、耳にピアスが無い人でも手や耳から細菌が検出されていますので、更なる研究に期待しますが、少なくとも、何割かの医療職者の耳にはこの「恐ろしい菌」が住んでいるのです。
実際、皮膚科の先生が一般外来の患者さんのバイキンを調べたら、何割かの人から耐性菌が検出されたという話題を読んだ事もあります。
むやみにピアスに抗生物質を使用したせいで、知らない間に怖い菌を作り出し、保持して、家族や友人に移している可能性だってあるのです。
オススメのケア方法は?
正しいピアスのアフターケア
まず思うのは、多くのピアス好きさんは気軽に薬に頼りすぎる。
色々なサイト・知恵袋を見てきましたが、頻繁に
なんていう、ドルマイシン神話を目にします。
抗生物質に頼らないといけない場面も出てくると思いますが、まずは
ことが大切!
【トラブル予防|基本のピアスケア】のように、正しいアフターケアを行ってください(^^)/
も参照にどうぞ(*^-^*)
薬は適切に使う
よく目にするのが
このように、不適切な抗生物質の使用がいちばんNGです。
お薬に頼らないといけないときもありますが、きちんと適正範囲内で使用して、過剰に使いすぎないようにしましょう。
「飲み切ってください」「必ず1週間続けてください」など期間を指定されるお薬は、きちんと守りましょう。
自分で判断がつかないときは、病院に確認しましょうね。
信頼できるDrにかかる
少し難しいのが、未だに抗生物質を出しまくるお医者さんがいるという点。
ちなみに病院の規模やボロさにはあんまり関わらないかも。
古い病院でも、新しい知識を取り入れて積極的な治療をしてくれる病院もあれば、新しい病院でも患者さんをあんまり診ずに、とにかく薬を出しとけ~って先生もいる。
先生には受診する際に
などを確認しておくと、先生の考え方が分かりますよ。
ピアスだけじゃなくて、風邪なんかでも使えますね(*^-^*)
風邪なんてホトンドがウイルス(抗生物質効かない)なので
「風邪なので抗生物質出しておきますね」なんて言われたら、私は次の受診はしません”(-“”-)”
例えば、ピアスホールの感染の場合は
②感染が酷いので、細菌の数を減らして感染を抑える必要がある
③●日程度塗ってください
④●日したらまた来てください/症状が収まれば来なくて大丈夫です
などのお返事がもらえると思います。
薬を出さない先生もおられると思いますし、細菌培養(バイキンの種類を特定する)をかける先生もおられますm(__)m
情報を鵜呑みにしない
ピアスは医療行為とは甚だかけ離れていますので、なかなか公式のサイトというものはなく、私のような個人が好き勝手に情報を羅列しているサイトが目立ちます。
時々病院のピアス解説サイトもありますね。
そのサイトの運営者がどんな人なのか、会社なのか、個人なのか、営利目的なのか・・・ページを少し開けば分かると思います。
個人サイトの私が言うのも変ですが、情報はできるだけ公のサイトで手に入れてくださいね。