肉芽に効果があるとされて有名なクエン酸療法。
その陰で、たくさんの「悪化する人たち」が居るのを見過ごしてはいけません・・・
今回は、クエン酸療法でナゼ悪化するのか?について迫っていきます。
そもそも肉芽のクエン酸療法とは?
クエン酸水溶液を使って肉芽組織を溶かし、カサブタにして除去するという治療です。
上手にクエン酸溶液が染み込むと、
- 痛みを感じ
- 浸出液が滲み出て
- 出血して
- カサブタになって
- 剥がれて治る
そうです・・イタタ
ですが実は、すべての肉芽でこのように治るわけではないのです。
クエン酸治療の方法
オススメしませんが、まずクエン酸療法のやり方をお伝えします(^^;
2.コットンを浸し、肉芽に10分程度貼り付ける。
3.シャワーで患部を洗い流し、水気をしっかり拭き取る
というもの。
この治療、いくら医学の文献を漁っても出てきません・・・
英語でクエン酸、ピアス、治療・・・など調べてみても出てきません。
どうやら、日本固有の民間療法みたいなんです。
誰が、何のためにクエン酸なんか塗り始めたのでしょう・・・(^▽^;)
ささくれの肉芽にクエン酸?
調べてみると、足の爪のささくれや陥入爪(つまり、爪の異常)が原因で足に肉芽が出来てしまったときにクエン酸が効果がある!とネットで広まっています。
通常、液体窒素などで焼いたり、外科治療で除去するのですが、病院怖いから・・・・とクエン酸で焼き始めたのがきっかけみたいです(*_*)
でも、ちょっと待って。
クエン酸って、酸ですよね?
そんなの傷に塗って大丈夫なんでしょうか・・・
と思ってたら、こんな記事を発見。
酸の激痛に耐えながら、クエン酸治療を頑張ったけど耐えられなくなって病院受診した人のお話なんですが(^▽^;)
(病院受診の)結果・・・
化学熱傷だそうです。
化学熱傷とは刺激の強い化学物質が皮膚につくことで酷いヤケドと同じような状態になるものです。
刺激の強い化学物質・・・
肉芽腫のクエン酸治療は危険!危うく指がなくなるところだった話。
クエン酸じゃん!
(中略)
同じような感じで症状を悪化させて病院へ駆け込む人は結構いるそう。
先生に「そのままクエン酸治療を続けていたら細胞が死んで指を失ってたかもしれないね」と言われました。
怖すぎる!
そう、やっぱりクエン酸って、酸。
あとで説明しますが、化粧品とか食品に含まれているのは、きちんと濃度が計算されているのです。
この酸を足より絶対弱いであろう耳の皮膚のピアスホールに塗ったらどうなるのか・・・ひええ・・・Σ(゚д゚lll)
治らない・悪化したピアス肉芽
トラガスの肉芽をクエン酸で治療していたのですがこんなふうになってしまいました。
(中略)肉芽も少し小さくなりましたがこれ以上なくなりません。トラガスの肉芽を Yahoo!知恵袋
軟骨の肉芽にクエン酸を試したら腫れました
軟骨の肉芽にクエン酸を試したら Yahoo!知恵袋
そりゃそうでしょう・・・
ちょっと痛い画像なので小さくしたため分かりにくいと思いますが、炎症やただれを起こしているようですね。
本当に肉芽に効果があるのか?
実際に肉芽に効果があったブログさんなどを見ていくと、①血管拡張性肉芽か、②実は放置していても治る肉芽だったケースだということが考えられます。
①血管拡張性肉芽とは
その名の通り、毛細血管の塊のようなものです。
このタイプの肉芽は放置しても治らないので、病院では外科的に切除するか、液体窒素などで焼いていく治療が行われます。
肉芽治療ブログでよく言われている
- 出血してくる
- 出血した後に肉芽が小さくなっている
- カサブタになる
という点が、この肉芽の特徴と類似します。
ただし、周囲の皮膚を傷めてしまう点では、クエン酸は危険を伴います。
安易にオススメはできません
②放置しても治る肉芽とは
「小さな円形の肉芽」「ドーナツ状の肉芽」に対して効果があるというサイトさんもあります。
これは完璧に成熟瘢痕のことだとおもいます(^^;
成熟瘢痕はただの「傷跡」のことで、通常、放置していても自然に数ヶ月で小さくなるんです。
逆に、クエン酸のせいでかぶれや潰瘍にならなくてラッキーだったケースだと思います。
ちなみに、この成熟瘢痕が過剰にできてしまうものは「肥厚性瘢痕」と言って良く無い肉芽に分類できますが、肥厚性瘢痕がクエン酸で治る可能性は低いです。
なぜなら、肥厚性瘢痕は「原因」があるから肥厚していくからなのです。
色々な「肉芽 クエン酸療法」のサイトさんを見ていても、根治には「原因を除去する」ことが必要だと書かれています。
「原因」って何でしょう?
何度も再発を繰り返して爪の肉芽を根治した人のブログでは
本当に大切なのは「クエン酸をのせる」ことではなく、「陥入爪をはじく」ことだったんですよね。
「クエン酸療法」と「爪の小骨」
(中略)
つまり、皮膚に食い込んでいる爪がナイフだとすると、それを抜かなきゃ傷はいつまでも治らないということなんです
と紹介されています。
つまり、爪の場合は、「ささくれ」「小骨」を除去したり、「陥入爪」(巻き爪)を治療すること。
ではピアスの場合は??
ピアスを取れればいいんですが、できるだけ残したいですよね。
ピアスの工夫や、感染の制御で、原因を除去することができるんです(*^-^*)
危険な賭けの民間療法に頼る前に、ぜひ、根本的な原因を取り除いて、平和的解決をしてください(^^;
潰すのもNG
肉芽やデキモノには様々な種類があり、原因も様々です。
例えば膿瘍を肉芽と勘違いして潰した場合、中の膿が出てすっきりしたように感じますが、根本的な解決ではありません。
逆にケロイドは潰せば潰すほど、それが引き金となりどんどん巨大化してしまいます。
このように、種類によっては潰すことで悪化をまねいたり、余計な場所へ広がってしまうことも多くあります。
ちなみにクエン酸にはいろいろな効果があるので効くのだとされていますが、実際には信じられてきた多くの効果は迷信であることが証明されてきています。
クエン酸の効果とデマ
ピーリング(皮膚を溶かす)
クエン酸は,ピーリングにも使われることがあるそうで,(使ったことはありません。私が持っていたのは加湿器の洗浄用…)肉芽以外の所の皮膚部分にもなかなか影響がありました。
ピアスのその後…
耳たぶの顔に一番近いところの皮膚がかぶれたようになって,なんだかボロボロと皮膚がはがれてしまいました。(中略)クエン酸処理している時に,この場所は全然痛くなかったので油断していました。
クエン酸でツルツル肌になる!というピーリング効果がネット上ではうたわれていますが、不要な角質を落とす・・・というか、酸で皮膚をやんわり溶かしているようなものなのです。
なので、弱い組織である肉芽に使用すると
- 肉芽の細胞が破壊されて小さくなる
- 細胞の破壊により体液が滲み出る
- 出血する
- 結果カサブタになる
という、いかにも「肉芽の治療」ができているような結果になります。
一方…もちろん濃度や皮膚の強さにもよりますが、健康な皮膚まで障害されてしまう可能性もあるんです。
クエン酸療法のサイトを拝見していると
「クエン酸は食品添加物なので皮膚を傷めたりしません」
と堂々記載しているのを見つけました。
が、クエン酸のウィキペディアにもしっかりと・・・
主な危険性 皮膚と目を刺激
クエン酸 – Wikipedia
ですよねぇ(^▽^;)
「クエン酸」ってなんだか効きそうな気がするんですが、実はデマも多いんです。
クエン酸の本来の薬効
緩衝・矯味・発泡の目的で調剤に用いる。
医療用医薬品 : クエン酸 – KEGG
また,リモナーデ剤の調剤に用いる。
クエン酸は、食品や軟膏、化粧品などにもよく含まれています。
医薬品の説明にもある効果の、pH(酸性‐アルカリ性の度合い)の調整や、発泡、酸味付けのためです。
決して肌にいいから含まれているわけじゃないんですね(^^;
美肌効果?
化粧品などに入っているのを「肌にいい」と勘違いしたり、先程のピーリング効果と同様に美肌効果があると信じて、肌に塗る人もいるみたいです・・・が。
国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報によると、外用する(肌に塗る)と、光による過敏症を起こすことがあり、長期の使用で皮膚がんリスクが高まる可能性があると記載されています。
運動能力が向上?
5km走での実験から、運動成績を有意に向上させることが報告されたが、その後否定されている。このほか、高強度運動や600m走でも運動成績には影響がないことが示されている。
クエン酸 – Wikipedia
運動能力が上がるんだったら、ドーピング指定されちゃいますよね。
キレート効果
クエン酸には、キレート結合と言ってカルシウム・鉄分などの金属イオンをがっちり掴んでしまえる力があり、食事と一緒に摂取すると効率よく体内で栄養を代謝できるとされていますが、こちらも絶対的な結論は出ていないようです。
どちらかと言えば、絶大な効果は期待できないけれど、摂取すると良いこともあるかも?ぐらいのニュアンスです(^^;
ただし、病的に過剰摂取したことによる死亡例もあるので、大量摂取すれば人畜無害な成分でもありません。
微生物抑制作用
これは実際に研究などで認められている作用(^^♪
つまり、バイキンなどを増やさない効果です。
これは肉芽(特に感染性肉芽)の効果に一利あるかと思います。
しかし、ある研究では食品であれば同じ濃度なら酢酸(お酢)のほうが効果が高かったとのこと…。
わざわざクエン酸をチョイスする理由にはなりませんね。