「消毒は細菌を殺すこと」これはもうご存知だと思います。
ただ、結局消毒ってOK?NG?その理由は?
インターネットを見ると、いろんな噂が飛び交っていて、昔の私も混乱していました(^^;
答えから言えば、消毒が医療現場の傷の治療であまり使われていないのが事実です。
医療に携わるモノとして、ちゃ~んとした理由を説明しながら、なぜダメなのかを解説していきます♪
消毒が使われる時
無菌の場所を開く・閉じるとき
つまり。手術の前とか、手術の最後、皮膚を縫い合わせる前です。
皮膚の下は基本的に無菌ですから、さすがにそこを開いたり閉じたりするとき、現場では消毒を使います。
注射をする前後もそうですね(^▽^)
あとは新型コロナで有名ですが「ウイルス」などの感染拡大を予防するとき。
これは基本的にピアスでは関係ありません。
明らかな感染があるとき
明らかな感染がある状態では消毒薬を用いることもあるが,その際も消毒後に洗浄することで無用な組織障害を最小限に留め,消毒薬への感作を避けて接触皮膚炎発症を抑える効果が期待できる.
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1 – 日本皮膚科学会
つまり、「明らかな感染」がある場合でのみ消毒液を使う「こともある」けど、それでも消毒液は洗い流したほうが良いよという事なのです。
ちなみに、体液や汚れで消毒は効果が薄まるので、医療現場でも100%死滅させるのはかなり難しいんです(・_・;)
「明らかな感染」や「消毒液の種類」「洗い方」これを自分たちで見極めるのは難しいですよね。
では、消毒液はなぜ洗い流したほうが良いと言われるのでしょう?
「無用な組織障害」「消毒液への感作」難しいけど、どういうこと?
これについて説明していきます。
消毒の5つのデメリット
1.傷口が乾燥する
「傷パワーパッド」で知られるようになりましたが、傷口は適度な湿り気が大切です。
傷口を守る大切な細胞や司令塔が、乾燥に弱いためです…(・・;)
過度な乾燥は、化膿を予防するどころか、本来のバリア機能を低下させ、感染を起こしやすくなったり、治りが遅くなることに繋がるのです。
2.バイキンを食べる細胞も死ぬ
白血球とかマクロファージとか、聞いた事がある人もいるかもしれません。
バイキンと戦う細胞なのですが、消毒でやられてしまいます。
また、消毒による乾燥で動きが鈍くなることもわかっています。
3.傷を治す司令塔も死ぬ
サイトカイン・・・って、これは聞いた事ある人少ないですよね(^^;
「傷を治せー!」「バイキンと戦えー!」って、細胞たちに命令を出す司令塔のような物質なのです。
まだまだ研究中の物質なのですが、消毒で死ぬことが分かっています。
4.皮膚の細胞もダメージを受ける
肉芽…っていっても、厄介な肉芽じゃなくて「良い肉芽」のことです。
消毒と乾燥に非常に弱いんです((+_+))
よく、消毒で傷の治りが遅くなると言われるイチバンの理由です。
5.消毒液によっては皮膚が溶ける
皮膚が溶ける!?
そんな馬鹿な、ということが実際あるんです。
けっこうみなさん使っている、オキシドール。
傷口でシュワシュワ~~ってなっているアレ。
タンパク質を分解する=つまりできかけの皮膚が溶けるんです。
(それで汚れを落として消毒をするんですけどね)
消毒液ごとのデメリット
詳しくは消毒液の種類に記載していますが、簡単に消毒液ごとのデメリットをまとめます
エタノール(アルコール)
- 強い乾燥作用がある
- 傷に使用する事ができない
- 一部の樹脂ピアスの劣化をすすめてしまう
ベンゼトニウム塩化物(ケンエーシロチンやマキロン)
- 消毒成分以外の成分も入っていることが多い
塩化ベンザルコニウム(オスバン・プラスジェル・ピアチェーレ消毒用スプレー)
- ピアス用消毒液でジェル状の物は不衛生になりがち
オキシドール
- できかけの皮膚を溶かす作用がある
手ピカジェル
- アルコールなので傷に使用できない
オロナイン
- 消毒成分としては不十分
軟膏(消毒液じゃない)
軟膏を消毒液だと勘違いされている方がおられますが、抗生物質は細菌のみを殺す作用のある薬で、消毒とは作用が少し違います。
トラブルがおさまらないときに、必要・適切な量だけご使用ください。
ピアスをあけたら消毒ではなく…
洗浄で汚れ(細菌のエサ)を洗い流す
医学の研究が進み、細菌は増やさなければ、多少皮膚に居たところで「感染を起こさない」=「(一般的に言う)膿まない」ということが分かってきました。
上が消毒のモデル図。下が洗浄のモデル図です。
消毒をすると、細菌は死にますが、耳にとっての良い奴らも死んでしまうのは上で説明した通りです(´・ω・`)そして消毒液のカスとともに、死骸が生き残った細菌の餌になり、フィーバー状態。
一方皮膚は、ダメージを食らって戦う力が弱くなってしまいます・・・(/_;)
洗浄は、まったくゼロにはできませんが、細菌のエサとなる汚れを除去できるのと、細菌と戦う細胞が死ななくて済むので、細菌にとってはとても嫌な環境になるのです。
消毒をするべき3つのパターン
1.これからピアスを開けるとき
冒頭で説明した通り、手術でメスを入れる前や、針で縫い合わせるときには、皮膚の細菌を無害化するためにしっかり消毒をしています。
ピアスで言えば、ピアスホールを開ける前です。
(しなかったから、絶対感染するというわけでもないですが、やはり今の医療界の情報を考えるとするべきかと思います。)
基本的にはアルコール(消毒用エタノール)。
写真のような綿花が清潔&便利で個人的にオススメです♪
でも今は値段がぐっと上がっていますね。
皮膚が弱かったりアルコールにアレルギーがある場合も、塩化アンモニウム系(オスバン、マキロンが有名)(マキロンsは消毒+皮膚の代謝を早めるお薬も含まれています)が使いやすいですm(__)m
ピアスの基本的なケアとして劣ることはありません。
ちなみにピアスジェルはオスバンの仲間ですが、「ドロッと」しているので初期にはオススメしていません。シュッシュするピアス用消毒液も売られていますが、値段が高いのであんまりかと思います。
ちなみに、消毒前には、しっかり汚れを落としてから。
もちろん、手指の洗浄と消毒もわすれずに行ってください。
2.完成したピアスホールが臭い時
これはピアスが完成した人ならではの悩みです(^^;
皮膚ができるんで・・・垢が溜まって臭うんですよね!
そんなときは、洗浄したあとに上記のアルコールやオスバンなどで、キュッと耳たぶを摘み拭きしてあげるといいですよ♪
特にアルコールは油を分解する働きもあります★
こんなときには手軽なピアスジェルも活躍しますね(^▽^)
でも高価なので、気にならない人はマキロンでもいいと思います(^^;
3.ピアス本体や手指
ピアスによっては消毒液との相性がありますので、高価なものほど取り扱い文書をよく読んでくださいm(__)m
また、樹脂ピアスは基本的にアルコールに向きません。
私はサージカルステンレスやゴールドのピアスの軸や、ボディピアスのネジのところをアルコールでキュキュっとしてます。
手指も、ピアスと同じ消毒液でOKです。
もちろん石鹸でしっかり洗ってからです♪
まとめ
- ピアスを開ける前の皮膚は洗浄&消毒!
- 穴あけ後の穴には洗浄(洗浄の仕方を参照)
- ピアス本体は消毒してあげてもOK(素材との相性は消毒液の種類を参照)
- ピアスを触る手の指はしっかり石鹸or消毒!
- 最終手段で消毒を使うなら、種類とデメリットを知ってから。
感染が改善せずにどうしても使用する場合もあるかと思います。
できれば病院で「信頼できる」Drと相談しながら行ってください。
ご自分で試される場合には、オキシドールのように使いにくいものではなく、マキロンなど使いやすくて低刺激のものから試すのが良いかと思います
消毒液の正しい利用をして、健康なピアスホールを育ててくださいね(^▽^)/