ピアスホールにできる「肉芽」は
- 異物性肉芽腫
- 血管拡張性肉芽腫
があり、厳密には肉芽ではないけれど「ピアス肉芽」と言われるものとして
- 早く病院!・・・ケロイド
- 要注意・・・肥厚性瘢痕
- 様子見でOK・・・成熟瘢痕
があります。ピアスホールでよくみられる肉芽以外の「デキモノ」として
- 問題のないもの
- 腫れ・潰瘍など(炎症)
- 膿瘍(うみが溜まっている)
- 粉瘤(うみが袋に入ってる)
以上の「デキモノ」の原因・特徴と、いちばん注意してほしいケロイドとの違い・対策を簡単にお伝えします(*^-^*)
もちろん、自分での判断ができない場合、治らない場合はお医者さんへ。
※イメージ画像に関しては、典型的な例を元にイラストにしています。実際の症例とは異なる場合があることをご了承下さい。ピアス肉芽は、医学的な肉芽腫より少し広い意味で使われていますが、基本的な対策としては同じでいいのでサイトでは「ピアス肉芽」として解説しています。
肉芽(にくげ・にくが)
肉芽全般の特徴
- ぽこっとしたデキモノができる
- 痛みの有無は人それぞれ
- 色は赤~肌色、黒などいろいろ
- 一緒に腫れを生じることもある
痛みはほとんどない
通常肉芽は痛みは無いですが、傷や炎症があるときに、その痛みを感じることがあります。
大きくなっていくものは「痛くないから大丈夫」と放置しないように注意しましょう。
なぜ軟骨ピアスで出来やすいの?
耳たぶは皮膚の下に皮下組織しか存在せず、柔らかくて血流が豊富で治療も早いです。
しかし、軟骨では、「やわらかい骨」と言えども柔軟性が少なく、血流がなく、治療に時間がかかる部分を通過してピアッシングを行います。
負担がかかりやすく、治癒にも時間がかかる・・・つまり炎症や異物反応が長く続くため、肉芽やトラブルが発生しやすいコンディションなのです((+_+))
異物肉芽腫

異物肉芽腫とは体内に長時間分解されずに存在する異物が慢性炎症の原因となり、肉芽腫を生じたもので、異物には外傷に由来する砂や石、木片など、また外科手術に由来する種々の生体内埋入材料によるもの、そして美容外科手術で充填目的に使われる異物による場合などが考えられます。
http://www.jsprs.or.jp/member/disease/nevus/nevus_19.html より抜粋
(中略)異物および、肉芽腫の摘出が原則です。
難しい言葉が並びますが、簡単に言えば体が異物(ピアス)に反応しすぎて、自分の細胞を壁にして防御しようという反応のことです。
一般的に、炎症が強く起きている時は赤く痒みや痛みがあり、それ以外のときも腫れぼったくデキモノができたようになります。
ピアスで考えられる原因
- ピアスホールでの感染が長引いている
- 刺激が続いている
特徴
- 腫れを伴う
- 赤っぽくやわらかい
- ジュクジュクした汁があるかも
治療
- ピアスを抜いてしまうか負担を軽くする
- 外科的に切除する
- 炎症を抑えるお薬を使う
肉芽をほっとくとどうなるのか?
異物肉芽腫と癌の発生に関しては明確な因果関係は証明されていませんが、異物肉芽腫が長期間存在し、潰瘍化を繰り返す場合は、癌発生を促す可能性も否定できないため、できるだけ早期の異物摘出が望まれます。
http://www.jsprs.or.jp/member/disease/nevus/nevus_19.html より抜粋
つまり、絶対になるかはわからないけれど、癌になる可能性もゼロじゃないので、できるだけ早くに解消しましょうということです。
肉芽に限らず、ピアスのトラブルが続いたり悪化していく場合には、きちんと専門医の判断を仰いでくださいね(>_<)
血管拡張性肉芽腫

体に急にできてくる赤い皮膚の腫瘍で、よく血管のかたまりなどといわれることもあります。
http://www.medical-h.net/column/?p=6553 より抜粋
あまり大きくはなりません。直径は5mm~2cmくらいで、色は赤色か暗赤色で、柔らかくて盛り上がっています。基部がくびれていることもあります。
原因としては、細かいキズや感染が引き金となって毛細血管が反応して拡張してきたものです。
血管拡張性肉芽腫であれば、自然に治ることはほとんどないので、何らかの治療が必要になります。
つまり、傷やバイキンなどのきっかけで血管が異常に増えた塊となってしまうものです。
一見血豆のような感じですが、血が溜まった袋とは違って中は毛細血管の塊のようなものなので、潰しても潰しきれない特徴があります。
ピアスで考えられる原因
- ピアスをあけただけで出来てしまうことがある
- 細菌感染
特徴
- 真っ赤な血豆のような見た目
- 立体的な球になっていることも
治療
大きなものは切って取ることになります。ごく小さいものであれば液体窒素で患部を凍らせて壊死させ、新たな皮膚が下から再生してきて押し上げることにより、患部をカサブタ状にして治すこともありますが、数回の治療が必要になることもありますので、専門の医師にご相談ください。
http://www.medical-h.net/column/?p=6553 より抜粋
病院での治療が基本になります。
- 外科的に切除する
- 液体窒素などで焼く
「液体窒素で焼いてカサブタにしてしまう」という点、クエン酸療法に似ていますよね。
実際、ネットのブログなどでクエン酸療法の写真を見ると、きっとこのタイプの肉芽だろうなぁと思えるものが多々あります。
しかし、別のタイプの肉芽やケロイドなどだった場合は悪化していく原因になり、血管性肉芽腫の場合もきちんと最後まで処置ができなければ再発・悪化の原因になります。
悪化を防ぐために、クエン酸療法などの侵襲的(傷を負わせるような)治療は、必ず専門医と一緒に行ってくださいね。
瘢痕(はんこん)
瘢痕って何?という事ですが、簡単に言えば「傷跡」のことです。
瘢痕(はんこん、英: scar)とは、潰瘍、創傷、梗塞による壊死などによって生じた、様々な器官の組織欠損が、肉芽組織の形成を経て、最終的に緻密な膠原線維や結合組織に置き換わる事で修復された状態。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%98%A2%E7%97%95 より抜粋
はじめは肉芽と勘違いしやすいですが、徐々に治っていくのが特徴。
最初の数ヶ月間は傷痕も赤く、かゆみや痛みなどの症状があります。やがて半年から1年ほど経つと自然に成熟瘢痕となり、赤みもとれ白い平らな傷痕になります。
http://www.jsprs.or.jp/member/disease/scar/scar_01.html より抜粋
肉芽・ケロイドとの違い
どれもデキモノができるのですが、ザックリ言えば肉芽は「異物に対抗したデキモノ」で、瘢痕・ケロイドは「傷跡」。
さらに、瘢痕とケロイドの違いは、
手術後の縫合創なども、一時的に赤みが増して硬くなることがあります。通常は術後1-2ヶ月を過ぎたあたりから、赤みが減り軟らかくなっていきます。しかし、いつまでたっても赤みが引かないどころか、盛り上がってきて、チクチクするような痒み・痛みが出ることがあり、この状態を「肥厚性瘢痕」といいます。さらに、もともとの傷の範囲を越えて、周りの皮膚に伸展していくものを「ケロイド」と呼びます。
(ただ、実はケロイドと肥厚性瘢痕を区別する明確な診断基準はありません。)
つまり
- 一時的な傷跡で、1~2ヶ月で症状が良くなるもの
→成熟瘢痕(放置してイイ肉芽) - 傷跡が盛り上がってきて治りにくいもの
→肥厚性瘢痕(要注意の肉芽) - 傷跡が盛り上がり、周囲にも広がり非常に治りにくいもの
→ケロイド(絶対アカンやつ)
とザックリ区別することができます。
あとで1つずつ説明はしますが、肥厚性瘢痕とケロイドの見極めは医師でも間違えたり意見が分かれたりするところでとても難しい・・・・ということを念頭に置いてください。
ピアスの負担を軽くして清潔を保っても症状が悪化していく場合には、皮膚科や形成外科などの専門医を受診してくださいね。
成熟瘢痕(ただの傷あと)

ピアスで考えられる原因
- ただの傷跡なので、ピアスをあけるだけで出来ます
- 目立つかどうか、が体質によって色々です
特徴
- 穴の周りを囲うようなミミズ腫れができたように見えます
- 赤色~褐色・肌色など様々な色をします
唯一、ほっといてOKな肉芽
- 時間をかけた自然治癒が基本
- 自然にできるものなので大きくならなければ問題ない
何もなければまだいいですが、潰瘍など別のトラブルを起こしてしまう危険性があります。
肥厚性瘢痕

肥厚性瘢痕とは・・・何らかの異常で傷の治りが遅くなると、皮膚を作る線維細胞が過剰に産生され、その線維の増生で傷が赤くなり盛り上がります。肥厚性瘢痕の場合は傷を越えて病変が広がることはありません。時にきのこ状に増大することはあります。肥厚性瘢痕はケロイドと違い経過とともに色調は退色し、盛り上がりも徐々に平らになり、柔らかい傷となります。治療も効果が期待され、適切な治療を行うことで治る可能性があります。
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/keisei/about/disease/keloid.html より抜粋
肥厚性瘢痕とは、何かの原因によって治癒に時間がかかってしまった場合などに、先程の「問題ない瘢痕」と同じような組織が異常に増殖してしまう状態です。
ピアスで考えられる原因
- ナナメに刺さってるピアス
- 重たいピアス
- 曲がったピアス
- 片方だけに力がかかることが多い場所(寝相なども)
特徴
- 引っ張られる方向に盛り上がることが多い
- 炎症が起きているときは赤みがかり、だんだん肌の色に近くなる
- 傷の大きさを超えて健康な皮膚へ広がっていかない
治療
- ピアスの負担を軽減させる・ピアスを除去する
- お薬の使用や外科的な処置
体質もありますが、引っ張る力をかけない(=重いピアスやCBRなどは使わない)こと、着脱の刺激を最小限にすることが予防の1つにはなると考えられています。
ケロイド

傷などをきっかけに、組織が健康な皮膚にまで侵食して異常増殖する、肥厚性瘢痕が更にやっかいになったような存在です。しこりとは比べ物になりません。
モリモリと大きくなる赤っぽい組織で、いびつな形のものが多いです。
体質が大きく関連していると考えられ、普段から傷が膨らんでくる人は要注意です。
「ケロイド」は赤褐色に盛り上がった硬い腫瘤で、激しいかゆみや、痛みを伴うことが多く、腫瘤の形が複雑で表面の凹凸が強いものでは、深部で感染(化膿)を起こし、排膿(うみが出ること)を繰り返す場合もあります。またもとのキズ跡よりはみ出して広がることが多いと言われ、自然に治ることはまれであり、軽快後も再発することがあります。
http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/prs/05ts07.htm より抜粋
特徴
- モリモリと大きくなる赤っぽい組織
- いびつな形のものが多い
- 傷の大きさをはるかに超えて大きく広がる
治療
自然治癒は困難。
とにかく病院へ行ってください・・・
- 薬物療法
- 外科的な治療
- 圧迫療法やテーピング
などが使用されます。
その他の「しこり」
皮膚をしこりと勘違い
ピアスホールは、何もなかった柔らかな「お肉」の中に硬い「皮膚」ができるので、その皮膚は少なくとも「しこり」と感じます。

よく「しこり」で相談される内容のホトンドがコレ。
症状は特になく、ほっといてOK
肉芽や他のデキモノとの違いは、他のトラブルがなく、どんどん大きくなっていかないというところです。
なので特に対策しなくていいんですね(^^;
問題は、ピアスホールを閉じる時
ピアスをあけてすぐ閉じた場合や、皮膚が出来てからでも体が皮膚を分解できた場合は消えることがあるけれど、消えない場合も多いです。
除去したいときは、皮膚科や形成外科に相談をします。
腫れ・潰瘍(かいよう)

耳の中で腫れや内出血を起こしていて、しこりと感じることがあります。
表面にあれば赤く腫れぼったいので見て分かりますが、ピアスホールの中で起きていると触ってはじめて分かることも。
対策
- 刺激を与えてできたシコリに関しては、少し様子見。ホットソークもOK。
- 金属アレルギーの場合はホットソークで悪化しますので、できるだけ早くピアスの除去か交換。
- 消毒や石鹸かぶれの場合は使用を中止する。
潰瘍とは
酷い「ただれ」の状態です。

対策
- 基本的には安静と清潔(流水洗浄)
- ピアスの選び方が間違っている場合は↓を参考に、適切なピアスを選ぶ
症状が酷い場合は軟膏を使うことも考えられますので、皮膚科でぜひ相談してくださいね。
膿瘍(のうよう)

膿のかたまりが、ピアスホール内や脇道に潜んでいる状態です。
表面に膿の袋が見えることもありますが、中にあるとしこりと感じます。
ニュルニュルと膿が出てきている場合が多いです。
対策
脇道を作ってしまった場合は洗浄をきっちりできない、塗り薬では効果が届かないので、自分の免疫に頼るのみ。
自宅での対応は難しいです。
皮膚科などで飲み薬などのお薬を貰ったり、酷い場合膿の袋の中を直接洗浄(細い注射針などで刺すことも)するなどして対応されるのがほとんどとなります。
ついついやっちゃうんですが、膿は押し出そうとしないでくださいね(^^;
悪化の原因となります。
粉瘤 (ふんりゅう) (表皮嚢腫)

ピアストラブルで良く聞く言葉ですが、膿瘍とどう違うの?と思いますよね。
皮膚の下に袋状の構造物ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまってできた腫瘍の総称です。ときに化膿して真っ赤に腫れ上がったりすることがあります。皮膚腫瘍の自己診断は非常に危険です。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/index.html より抜粋
つまり、膿や古い皮膚のかたまりという意味では膿瘍と同じなのですが、やっかいなパワーアップ版。
皮膚で袋のようなものを作ってしまっているので膿を出しても解決できないんです。
膿を出すとしこりが小さくなり、解決したかのように勘違いしますが、実は全体をくり抜かないと何度でも再発してしまいます。
対策
- 皮膚科・形成外科に相談
- 応急処置は膿瘍と同じ
※黒っぽい肉芽
炎症が続くと、皮膚は色素沈着で汚い黒っぽいものになります。
長期間かきむしりすぎてしまった傷が黒くなるのと同じです。
色素沈着は治るのに時間がかかりますが、じっと腰を据えて待ちましょう。
とにかく、炎症を起こさず安静をキープできることが大切です。
クエン酸療法でも黒くなっちゃいますが、これは壊死組織や痂疲(かひ:カサブタ)です。
カサブタの黒さは剥がれたら解決するはずです(^^)/
ピアスのキャッチをきつく締めていたり、金属アレルギーが酷くなったり、間違った民間療法(オキシドールやアルコールの消毒、クエン酸療法など)で刺激を与えてしまったケースがかなり多いです。
しこりの上からピアスはあけられる?

基本的にNG。
しこりの存在によって穴が曲がってしまったり、貫通しなかったりする原因になります。
しこりの種類によっては、感染(バイキンで膿んでしまう)を起こす原因になってしまいます。
クエン酸療法の危険性
ケロイド、肥厚性瘢痕の治療は保存的(手術を行なわない)治療が第一です。手術治療は保存的治療の補助手段と考え、手術を行っても再発予防のために保存的治療を早期から行う必要があります。安易に切除を行って再発を起こすと、元のケロイドより大きくなってしまうこともあり、注意が必要です。
http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/prs/05ts07.htm より抜粋
先程お伝えしたように、血管拡張性肉芽腫の場合はクエン酸療法で治癒が見込める「可能性も」あります。
逆に、ケロイドや肥厚性瘢痕の場合、刺激を与えることで再発をするどころか、症状がどんどん酷くなることが考えられます。
実際に症状が酷くなったり、潰瘍など余計な症状が発生してしまった人はたくさんいるので、自己判断でのクエン酸療法がいかに危険かを知ってください(>_<)